20代男性、監査法人勤務の公認会計士です。私は19歳で公認会計士の勉強を始めて21歳の時に合格しました。
会計士を目指したのは高校2年生の頃です。地元の大学の学部説明会で会計士のことを知り、会計士の専門性や年収等の魅力と、難関資格に挑戦してみたいという気持ちから会計士試験を受験することを決意しました。
私が通っていた高校は進学校でしたので、2年生の頃にいったん簿記3級を取得し、その後は大学受験に専念しました。
偏差値60程の大学に入学し、まずは日商簿記2級程度の知識を身につけてから公認会計士講座に申し込もうと思い、市販のテキストを購入し独学で勉強を始めました。
簿記の概念は難しく感じるところもありましたが、理解が進むにつれて楽しいとも感じ、会計士の勉強を始めたいという思いが強くなり、6月の簿記検定が終わるとすぐにTACの公認会計士講座を申し込みました。
この記事では公認会計士の合格体験記をベースにTACのよかった点を書いていきます。
公認会計士の勉強をする前に日商簿記の勉強をしたほうがいい
公認会計士講座の勉強を始めてからちょうど1年後の6月の検定で日商簿記1級に合格しました。
公認会計士講座の1年目の学習内容は主に財務会計と管理会計(簿記検定でいうところの商業簿記と工業簿記)であるため、簿記1級に必要な基礎知識は十分にあり、直前の2週間ほど過去問を解いたり対策問題集を解いたりするのみで合格できました。
簿記検定と会計士試験では出題形式が大きく異なり、また、それぞれ特有の論点がありますので、日商簿記1級に合格していれば十分というわけではありません。
その後も会計士試験に向けた財務会計・管理会計の勉強は続ける必要がありました。いきなり公認会計士の勉強を始めるには相当の覚悟が必要かと思います。
簿記検定のみでも就活において有利となることもあるかと思いますので、3級、2級と段階を踏んで挑戦していくのも良いかと思います。
簿記が自分に向いているか分からない、予備校の講義についていけるか不安といった方はまずは簿記の勉強から始めることをオススメします。
最近では無料で簿記を学習できるサイトもありますので、お試しで学習してみてはいかがでしょうか。私も簿記3級は無料学習サイトで勉強しました
かかった勉強時間は約4200時間
勉強期間は2年2ヶ月、総勉強時間は約4200時間です。1年目は1日4時間〜8時間、2年目は1日10時間〜12時間ほど、大学の試験期間やお盆・年末年始の帰省等を除いてほぼ毎日勉強していました。
会計士試験に受かるための勉強時間を調べてみると3000時間~5000時間と言われていたことから、私は4000時間を目安として計画を立てていました。
自習室は改善してほしい
TACは講義もテキストも充実しており、合格実績も十分にあるため学習内容に関する不満は特にありませんでした。
しかし、自習室には不満を感じています。私が通っていた校舎では空き教室を自習室としていたため、自習室が少ない日があり、出遅れると自習室が空いていないことがありました。
また、パイプ椅子で長時間勉強していたため、腰が痛くなることもありました。TACでは公認会計士以外にも公務員や税理士等の講座もあり受講生が多いことから、自習室のクオリティが低いところがあります。
長時間勉強しても疲れにくい椅子にして欲しいところですが、受講生の多いTACでは難しそうです。
TACの講義は分かりやすかった
私はWeb通信講座を受講していました。TACの講義は分かりやすいものが多く、特に企業法の講義が分かりやすかったと思います。
法律に馴染みがないと分かりにくい科目ではありますが、初学者でも分かるように例え話をしたり噛み砕いて説明したりと大変分かりやすく、他の受講生からの評判も良い先生でした。
また、財務会計論(計算)の講義も分かりやすく、連結会計のタイムテーブルや退職給付会計のワークシートなどの仕訳を切るためにどのような下書きで計算したら良いかよく分かりました。
一方で、テキストに線を引くことがメインの講義もあり、色分けも指定されて何をしているのかよく分かりませんでした。講師の方の好みで色分けすることで合格に近付くとは思えません。
TACのテキストも分かりやすかった
TACのテキストは表や図により綺麗にまとまっています。私は財務会計論理論編テキストが特に分かりやすいと感じていました。
また、企業法のテキストについても、情報量が非常に多いものの2冊に収まるようまとまっており学習しやすかったように思います。
論文式試験の企業法の問題は、最初は何を書いていいか分かりませんでしたが、テキストによく出る論点の論証例が記載されており、これをある程度暗記しておくことで解答欄に空白をあまり残さず記載できるようになりました。
全てを暗記するのではなく、基礎的で頻出の論点を覚えるようABCとランク分けされているため、取捨選択して効率的に学習することができました。
TACの答練は難しかったが、本試験に役立った
TACの答練はとても難しく、講義やテキストでの学習が進んでいても半分も正答できないということが多々ありました。
難しすぎて心が折れかけることもありましたが、答練を解くことでテキストに載っていないような論点を知ることができたり、応用問題にどのように対応したらよいかが分かったりと、本試験で得点を高めるのにとても役立つ教材でした。
TACがおすすめな人、おすすめできない人を教えてください。
TACは他の予備校と比べて教材が優れていると思います。長年にわたって培われたノウハウにより、網羅的で分かりやすく、洗練されたテキストになっています。
テキストを読み込んで理解することで合格に必要な知識は得られますし、問題集や答練で試験問題を解く練習をしておくことで本試験での時間配分が分かり得点を上げるためのテクニックも身に付きます。
そのため、テキストを読み、問題集・答練を解いて学習するのが得意な人にはTACは向いていると思います。
しかし、私はTACの講義を分かりやすいと感じていましたが、最近では人気講師がCPAに移籍していることもあり、講義はCPAのほうが分かりやすいと言う人が多くなっているように思います。講義の分かりやすさを重視する人にはTACではなくCPAのほうが向いているかもしれません。
ただ、どこの予備校にするかよりもどれだけ勉強時間を確保できるかのほうが重要かと思いますので、通いやすさや予算などを総合的に勘案して予備校を決めることをおすすめします。
最後にこれから公認会計士試験を目指す方にエール
公認会計士のキャリアは幅広く、監査、税務、コンサル、一般企業での経理など様々なキャリア選択ができます。また、会計士は当面人手不足の状況が続くと考えられており、就職においても強みになると思います。
私は監査法人に就職しました。監査法人では、IPO、金融、パブリック、海外など、希望に応じて様々な業務を経験できますし、研修や他部門への異動による成長の機会が十分に与えられていると実感します。
私は監査事業部からIT監査部へ異動して新たな分野でに挑戦んしていますし、海外駐在やアドバイザリー部門への異動など新天地で活躍されている先輩もいます。
試験に受かるまでの道のりは長いですが、勉強を継続すれば受かる試験だと思います。勉強がつらくなることもあるかと思いますが、自分を信じて最後まであきらめず頑張ってください。
資格の大原で公認会計士試験に合格された方にもインタビューしました(管理人より)。